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Selfishly

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Pa15、ドライバーライセンス


~スローライフ~
         Pa15「ドライバー・ライセンス」


それは、些細な事だった。
いつものように、エドワードが 帰ってきたロイと
送ってきたハボックに食事を振舞って、
そのまま直帰のハボックも交えて、団欒を楽しんでいた。

「中将、 そういや~ 前回の会議での資料をって
 中佐が言ってましたよね?」
エドワードの美味しい手料理をご馳走になり、
ご満悦の様子で、ふと帰り際の中佐の言葉を
思い出したハボックが、そう ロイに話しかけた。

「そうだった!
 明日、お前が持っていくんだったな。」

「そうっすよー、明日は 会議へ出るんで
 俺、直行する事になってますからね。」

「わかった、書庫にあるんで取って来よう。」

「頼んます。」

それまで、二人の話を聞いているだけだったエドワードが
口を挟む。

「少佐、明日は会議に出るんだ?」

「おう、セントラルでやってくれりゃいいんだけど、
 司令部全域の会議なんで、会議場所が違うんだよな~。
 んで、今日は車を置いての直帰ってわけ。」

「ふ~ん。
 やっぱり少佐になると忙しいんだな。

 あれ、じゃあ明日は誰か他の人が迎えに来るわけ?」

「いや、他に そうそう手が空いてる者もいないしね。
 私が運転して行くさ。」

そう言いながら、資料を取りに部屋を出て行くロイを見送る。

今も ロイの送迎は 時間の都合がつく限りハボックが行っている。
ハボックが忙しい時は、たまに その他のメンバーが送ってくる時もあるが、
ハボックが忙しい時は、他のメンバーも忙しいわけで
なかなか、都合がつかないときも多々ある。
そんな時は、ロイは自分で運転して帰宅しているのだが、
中将クラスが 自分で運転しての出勤や帰宅等は
ホークアイ大佐は あまり良い顔をしてはいないが、
敵の多い中将の送迎を 簡単に他の人間に頼むのも
余り得策ではない。
本来なら、送迎などは下仕官がするのだが、
何度かそれで、問題が起きたりもしていて
今だ直属のメンバー自体が交代で行っている状況だ。

出て行く中将を見ながら、エドワードが考え込んだ表情でいる。

ロイが書庫から資料を取って戻る廊下での途中で、
リビングから声が聞こえてくる。
出るときに、扉をきちんと閉め忘れていたのだろうと
気にせず部屋に入ろうとしたのだが、
その時に聞こえてきたエドワードのセリフに 開け様としていた手が止まる。

「でさ、中将に内緒にしたいんだ。」
声は幾分小さめに話されており、
何の話をしているのかは、はっきりとは聞こえてこない。

「俺は構わないけど・・・、中将に隠しきれるか~?」

「でも、バレたら どんな事になるか想像つくだろ?」

「まぁな。
 それに俺は、お前が・・・・・だと 
 ・・・・・・んで嬉しいけどな。」

「うん、俺も・・・・・で
 ハボック中佐のがいいしな。」

「OK、わかった。」

「んじゃ、・・・・までは
 二人の秘密な。」

そして、楽しそうに二人でクスクス笑い合っている雰囲気が
伝わってくる。
なんなんだ?と思いながら 止めていた手を動かしながら
扉を開けると、入ってきたロイをみた二人は
ピタッと会話を止めてしまった。

その後ハボックが資料をもらって帰っていった後も
エドワードの機嫌は良さそうだった。
ロイが 何気なく、入るときにハボックと何の話をしていたんだと
聞いた時、「まぁ、ちょっと頼みごとを。」と答えただけで
軽く流されてしまい、ロイの胸の中に気がかりが残ったままとなった。

そんな事が 数日前にあってから、エドワードの行動に
おかしな所がある時が続いた。


「また、居ないのか・・・。」
受話器を置くと、ふぅーと息を吐く。
このところ、エドワードが家に居ないときが増えた。
今までは、大抵は家におり 電話をかけても出なかった時は
殆どなかった。
もちろん、そろそろ大学に行く準備もあるだろうから
今までのように、家にばかり篭ってはいられなくなるだろうことは
ロイにも解っていたが、ここ最近は どうもおかしい。
家に戻って不在の事を聞くと、ちょっと出かけていたとは
言うが、どこにとも何をとも言わないし、
言いたそうにしない。
ロイとて、いちいちエドワードの行動を監視するつもりはないから
余り煩くしてはとは思うが、
気にならないはずがない。

ふと、思いついたようにハボックの姿を探す。
司令部の中を見回すと姿がないので、
ホークアイ中佐に聞いてみる。

「中佐、ハボックは どこに行った?」

「ハボック少佐は、先ほど 街の査察を兼ねて
 出ておりますが。
 何か ご用が?」

「・・・そうか、いやいい。
 戻ったら知らせてくれ。」

「わかりました。」
中佐が了承して、自分の仕事に戻ると
中佐には気づかれないように、音をさせずにため息を吐く。

そうなのだ、おかしな事と言われれば
あれからのハボックの行動も どうもおかしい。
エドワードが不在の時には、大抵はハボックも司令部にはいない。
まるで、示し合わせたように。
ロイは、先日の家での事を思い出す。

『中将には内緒な。』
『俺もうれしい。』
『二人の秘密。』等、あの時に聞いた単語が
ロイの頭の中をグルグルと廻っている。

『何か、企んでいるのか?』二人揃って、ロイには知られたくない事でも
あるのだろうか?
考えに浸っていると、ふいに自分を呼ぶ声ではっと気づく。

「・・・中将、中将。」
見ると 査察から戻ってきたのか、ハボックがデスクの前に立って
自分に呼びかけている。

「ああ、戻ったのか。」
なるべく平静を保ってハボックに話しかける。
「お前、どこに行ってたんだ。」

「どこって、街に査察っすよ。
 中佐に聞いてませんでしたか?」
不思議そうな顔をして聞き返すハボックに
ああ、そうだったかなと惚けて
話を仕事に戻す。

その後、話が一段落すると ロイは自室に篭り
家に電話をかける。
今度は、2回程の呼び出し音でエドワードが出てきた。

『はい。』
「エドワードか。」
『うんそう、何 どうかした?』
「いや、さっきかけた時に居なかったようでね。」
『・・・あぁ、ちょっと出かけてたから。』
「そうか・・・。」

不自然な会話に、今日は遅くなると用件を伝えてから
電話を切る。
エドワードが自分に隠し事をしていると思うだけで
ロイ気持ちは憂鬱になっていく。

気持ちを切り替えようと、軍の中にあるカフェに出かけるのに
廊下を歩いていると、軍に設置されている公衆電話で
ハボックが電話をかけているのが見えた。
普通は、司令部内には 自分のデスクから電話をかけている彼にしては
わざわざ、公衆電話で電話をかけている事を変に思って、
ハボックに気づかれないように近づいていく。
盗み聞きをしようとしている自分に後ろめたさを感じるが、
行動は自分の心に正直に動いていく。

「・・・・で、中将に気づかれ始めてるんじゃ。俺らのこと。
 うん、出来るだけ隠し通すように・・・・、ああ、わかってる。
 ああ、明日は中将は夕方から会議だからな・・・、
 んじゃ、明日な。」

電話終わったハボックは、そのまま その場を去っていった。
ロイに今の会話が聞かれていた事には気づかずに。
そして、その場に残されたロイは盗み聞きした後ろめたさなど
どこかに去り、今の会話を反芻しながら
暗鬱とした気分に落ち込んでいった。

帰っても すでにエドワードは寝ているらしく
朝は起きた時にはすでに出かけていた。
朝、自分が起きたときにエドワードが居なかった事等
彼が ここに来てから始めての事で、
ロイは 用意されている食卓の上に置かれているメモを呆然と眺めていた。

『今日は ちょっと出かけてくる。』
短い文章だけ書いたメモを何度も読み直し、
ここ最近のエドワードのおかしな行動にロイの困惑もピークになる。
『今日は 絶対に聞こう』
エドワードが いったい何をしているのか?
それに、何故 ハボックが関係しているのか?
聞かない事には、とても平穏な気持ちになど慣れそうも無い。
聞いても、自分が聞きたくない内容が帰ってきた場合、
平静を保てるかもわからないが・・・。

朝から憂鬱な様子を隠そうともしないロイに
周りの面々は 戸惑いを感じて、対応に困っていたが
簡単に聞けそうも無い雰囲気に、
ホークアイ中佐も 声をかけそびれている。

「中将、そろそろ会議の準備のお時間ですが。」
ためらいがちに声をかけてきた、ホークアイ中佐の言葉に
頭に入りもしない書類処理から、目を離し 席を立つ。

「あっ、中将 少々お待ちください。
 もう少しすれば、手が空くものが出ますから
 それから、お車の準備をします。」
ホークアイの言葉に、いつも手順の良い彼女が
出かける準備に手間取るなど珍しいと思い、

「どうした?」と聞いてみる。

「はい、本日はハボック少佐が公休ですので
 代わりのものが運転していく予定ですので。」

そう言われ、そう言えば朝からハボックの姿を見ていない事に気づく。

朝から居ないエドワード、
そして、公休のハボック。
示し合わせたような二人の行動に、ロイの心中ではイライラした気持ちが
渦巻いていく。
結局、会議には自分で運転していくと
止めるホークアイ中佐を押し切り、
行く道の車を走らせる。

『一体、どういう事なんだ!
 エドワードとハボックの二人で何をしているというんだ。』
イライラした気持ちそのままの 荒い運転で街を走るが、
運悪く 渋滞に巻きこまれ、ノロノロと動く車の中で
さらに、動かない車に悪態をつく。
「チッ。」
さも、腹ただしいという風に舌を鳴らし、
動かない車中から イライラと外を見る。

そして、そこでさらにロイの心に生まれた怒りが沸き起こる
ものを目にした。

一瞬、何が見えたのか 膠着した頭には理解ができなかった。
今 目で見えている事に、目がおかしくなったのではないかと思う。

『あれは・・・・、まさか・・・。』
半信半疑で、とうりの向こうを歩いている二人組みを凝視する。

そこには、抱きかかえるように肩に腕を回している男と、
それに寄りかかるようにしている 一見女性に見えないことも無い
華奢な人物が見える。
そして、その人物が女性でない事はロイは知っていた。

『・・・エドワード・・・と ハボック・・・。』

思わず車から飛び出しそうになり ハンドルから手を離そうとした瞬間、
渋滞が緩和されたのか、いきなりスピードを上げる車たちに
ロイの車も、後ろからの車たちに クラクションを鳴らされ
急げと訴えられる。

「くそっ」
離しそうになったハンドルを握り締めると、
スピードを上げるためにペダルを踏み込む。
流れ去るのが速くなった外の風景では、
ロイには 仲良さげに映る 歩く二人が、
そのまま 道の先にあったホテルの扉をくぐって行くのが
最後に目に焼きつけられていった。

その後の会議は惨憺たる結果となり、
史上最悪に機嫌の悪いロイに参加者全員が
戦々恐々とする事になった。
会議を終了したものは 皆口を揃えて
「怖かった・・・」と蒼い顔をしてつぶやいて出てきた。
会議自体は、ロイに逆らう者も 意見を言う根性のある者もいず、
最速の時間での閉会となり、
そそくさと出て行く将軍達を尻目に、
ロイは一刻も早く帰る準備をしようと会議室を後にした。

『一体 どういう事なんだ!

 何故、エドワードとハボックの二人が抱き合って
 
 ホテルに入って行ったんだ!。』

その答えは1つしかないような気がして、
さらにロイの憤りが激しくなる。
 
もし、そうだったら・・・・。
その恐ろしい考えに、ロイは鉛を飲み込んだように
冷えていく頭と身体を感じていた。

『もし、そうだったら
 私は・・・。』
冷めていく頭と身体に反比例して、
心の中では ロイが起こすことの出来る炎と同様の
熱が嵐のようにのた打ち回っている。

そんな物騒なオーラーを隠そうともせず歩くロイには
さすがいつもの顔なじみの警備の者達も 
おいそれと声がかけれない様子でいた。

会議のあったホテルを出る時、ロイは 今の自分の状態が
限界になっているのを実感していた。
もし、これ以上 ほんの少しでも気に障る事等あれば
手にはめた発火布で炎を起こすのを止める自信がない。

すぐにでも 戻って、エドワードに聞くんだ。
一体、どういう事なんだと、
二人は一体 どんな関係なんだと
ホテルのエントランスに回されてきた自分の車がやってくるのを
ぼんやりと見ると、その見えた光景に
ロイは 怒りも忘れて呆然とする。

その運転席と助手席には、なんと エドワードとハボックが
楽しげに並んで、驚くロイを見て笑いあっている。

ロイは、我慢がとうに限界点を越した事を感じていた。
押さえ込んでいた怒りが、自分の口をついて出る事を
止めれずに、自分の前で止まった車の中の二人に
怒声を発する。

「いったい、どういう事なんだ!!」
あまりのロイの怒声の大きさに、周辺の人間さえも歩みを止める。
声をかける為に窓を降ろしたエドワードのせいで
中にいるハボックは もろにロイの怒りの声を聞き、
ひっ!とばかりに頭を押さえて屈み込む。

そんな二人を見つめていたロイが、
並ぶ二人を見つめている内に、違和感を感じる事に気づいた。
『えっ? ハボックが右で エドワードが左?』

怒りを声に出した為か、落ち着いてきた頭で
冷静に今の目の前の状況を眺める。

「エドワード・・・、君
 運転が・・・。」
呆然とつぶやくロイに、エドワードはにんまり笑うと
早く乗れよ、中将様と声をかけて後部座席の扉を開く。

あぁと、狐につつまれたようにぼんやりとしたまま
促された座席に座り込むロイを確認すると、
エドワードは スムーズに静かに車を発進させた。
その後のドライブは、渋滞に巻き込まれる事もなく
運転者の技量がわかる スマートで安全なドライブとなった。

運転中 時折、指導しているのかハボックが声をかけ、
うなずくエドワードを見ていて、
ロイのここ最近の悩みの答えを なんとなく理解した。
そして、理解をした後に どっと疲れが寄せてきて
快適なドライブのシートに深く沈みこむ。
『全く・・・・、私の今までの悩みは・・・。』
泣きたくなるような心境で、ロイは 嬉しそうに運転している
エドワードの姿を眺めていた。


無事に家に着くと、ハボックは車を引き受けてそそくさと
戻って行った。
エドワードが お茶でもして行かないかと誘う言葉も
引きつった笑顔で辞退し、ロイの様子を伺うようにして
退出の言葉をかける。
それを聞いたロイの「ああ。」と言う氷のような声音と
睨み殺されそうな熱い目で眺められ、
戦場で 命からがら逃走する気分を味わいながら車で
走り去っていく。

『ふぅ~、怖かった・・・。
 殺されるかと思ったぜ。』
伝う冷や汗を拭きながら、今後 エドワードとの内緒ごとは
絶対しないほうが身の為だと、心に誓うハボックであった。

自宅のリビングでは、そんなロイの心境も
ハボックの恐怖にも縁がなく、上機嫌のままのエドワードが
お茶の準備を進めていた。

受け取ったカップに口をつけながら、
ロイは しみじみとエドワードに非難の声を上げる。

「言ってくれても良かったんじゃないかな。」
拗ねているような表情で自分を見るロイに
クスクスと笑いながら、エドワードが返す。

「ダ~メ!
 あんたに言うと、やれ教習所や車だと騒ぐ事になるし、
 下手したら、危ないから運転手を雇うなんて言いかねないだろ?」

今までのロイの行動で、ロイの自分に対する対応が解るエドワードにしてみれば、
先手を打ったという所だった。

「まぁ、・・・確かに否定はしないが・・。」
それでも、納得しかねるのか 渋い顔をしているロイに
仕方が無いなと思う表情を隠しもせずに、
エドワードは お茶を飲んでいる。

「んで、言っとくけど
 車を買うとかなしな。」

「何故!?」

「要らないから。
 必要なら、自分で買う。」

きっぱりと言い切るエドワードに、
口を挟む事も出来ずに、しばし 考え込む。

そして、あきらめたように
「わかった。
 車は買わない。」

そうロイが言うと、
「絶対だぞ。」とエドワードが念を押してくる。

「ああ、買わない。」
とロイもきっちりと返事をする。
返事に気を良くしたエドワードはお茶の代わりを用意しに
席を立ったため、
その後の ロイの人の悪そうな笑顔を見る事は出来なかった。
見ていれば、もっと きちんと約束を考えて言った事だろう。
『そう、私は買わないがな・・・。』
にんまりと笑うロイの表情には、
今回の事に関しての仕返しを考えて嬉しさが滲み出ていたのだった。

後日、家の前に試作品として最新の高級車が
置いていかれて、エドワードが唖然とする事になる。
その車は 最新流行の装備を誇って売り出し中の車で、
高級車にありがちな 重苦しい感じがなく
軽快なボディーが、金持ちの若者達にも羨望の的になってはいるが、
生産台数が少なく、高級な為
まだまだ 街には走ってはいない。

エドワードは失念しているが、
ロイは国を挙げての英雄であり、中将なのだから
メーカーがこぞって、動く宣伝塔とうとして
自社の製品を使って欲しいと思われる人物NO1なのである。
物欲の無いロイは、今まで めんどくさがって断っていたが
ほんの少し、車を買おうかと思っているともらすだけで
「ぜひ、使ってください。」と名乗りを上げる会社も
1つや2つではない。
賄賂になることを懸念して、全て 試作のモニターとして
送られくる。


エドワードとの約束どおり、ロイは買ったわけではないので
怒るエドワードに平然とした態度でやり返す。
怒ったエドワードが、ハボックに愚痴るが
ハボックは
『俺らじゃ、まだまだ 中将には勝てないぜ 大将。』
と心の中でつぶやく声は、エドワードには聞こえなかっただろう。

信用に関わるからと、戻すことも出来なくなった車は
ロイの家の庭に 燦然と輝きを放ちながら
存在を示している。

そして、ハボックには その後、ロイの嫌がらせの為
連日の残業と、いつ終わるのか解らない仕事量が廻されていた。


ただ、ロイには どうしても気になることがあり、
それをエドワードに聞いてみる。
答えは簡単で、根を詰めすぎたエドワードが車酔いをし、
練習をさせてもらっていた教習所の近くのホテルのロビーに
休みに入っていった所をロイが目撃したわけだが、
エドワードにしては、何故 ロイが そんな事を気にするのかが
今ひとつ わからずに変な表情を浮かべて答えていた。

今までの悩みが解決して、
しばらくぶりの安眠が得れるであろう夜に
ロイは 眠れずにまんじりとしていた。
今回の件で ロイが感じた感情は
今まで 自分が持った事はなかったが、
世間では それと似たような感情を何と呼ぶのかは
解っていた。

が、浮かんだ答えを掻き消すように強く考える。
「まさか、そんなわけがない。
 今回の事は、エドワードに隠し事をされたせいで
 腹をたてたのであって、決して 世間でいわれているような
 感情であるはずがない。」
そして、そうでなけらばならない。

確かに 自分は、エドワードの事になると少々過保護すぎるし
構いすぎるかもしれないが、
それは、彼が重すぎる運命を背負っているからであって、
そして、ロイの良き理解者であるからの好意であって
それ以上のはずがないし、そうであってはいけないのだ。
この今の幸せな時間を続けるなら・・・。
そう強く念じ、浮かんでくる考えを否定しながら
ロイは自分自身に言い聞かせながら、眠りについていく。
自分の中に芽生えた想いに、
気づかぬように蓋をして・・・。



[ あとがき ]

え~、本文中の中で不適切な事があったり、
行われたりしているかも知れませんが、
全て捏造ですので、事実 そんな事が許されるのかは
知りません。
無責任な事書いてしまってスミマセン・・・。
話の流れ上なので、お許しを!! m(__)m


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